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2020-01-03

ランニングのリカバリーとしての「入浴」を学ぶ

温浴とリカバリー

「温浴」による積極的なリカバリー。今年はそんなテーマに向き合って行こうと思います。ただ、そもそも「温浴」と広義の「リカバリー(回復)」にどのような科学的根拠があるのでしょうか?そんな素朴な疑問から、本書「最高の入浴法」を手にとってみました。


疲労からの回復だけではなく、同様に肩こり、腰痛、冷え性などの身体の不調、さらに不安や心配などの心にも「温浴」が効くことが20年と3万人もの調査から科学的に明らかになっていきます。

日本の誇るべき習慣「入浴」

なんと世界200ヶ国の中で「日常的に入浴する習慣」を持つのは日本だけだそうです。1日の終わりや、リラックスのために湯船にお湯を張って心身ともリラックスし、身体を綺麗にする。そんな習慣は日本人ならではなんですね。そしてこれが長寿大国の要因に一役かっていることが調査から分かってきています。当然長寿の要因は入浴だけでなく健康的な「和食」等の影響もありますが。例えば「毎日の入浴で要介護リスクが29%減」することが明らかになっています。

「入浴」はそもそも何に効くのか7つの分類

本書では「入浴」の効果を以下7つに分類しています。

1. 温熱作用|血行を促進する効果
2. 静水圧作用|水圧によるマッサージ効果
3. 浮力作用|浮力による筋肉の緩和
4. 清浄作用|身体を綺麗にする
5. 蒸気・香り作用|乾燥を防ぎリラックスさせる効果
6. 粘性・抵抗性作用|手軽な運動効果
7. 解放・密室作用|非日常的閉鎖空間でのリラックス効果

中でも一番基本で大切なのが「温熱作用」です。つまり温めることによって血流が促進され、血液が体内の細部まで行きわたります。血液は「酸素・栄養分・ホルモン・免疫物資」を全身に運び、「二酸化炭素・乳酸・活性酵素」などの老廃物を回収する動きがあります。

そもそも「疲労」とは「細胞が過剰に活動した結果、体内の細胞に”老廃物”がたまり、細胞の機能低下が起きること」を指すので、血流を促進することによってこの老廃物を回収することによってリカバリーするという仕組みです。つまり、温浴によってこれを意図的に起こすことができるわけですね。

リカバリーの三大要素

先ほど「疲労」のメカニズムを紹介しましたが、このあらゆる細胞レベルの疲労から「リカバリー」するためには主に次の3つが大切になります。

1. 血流促進
2. 自律神経
3. 睡眠

2の自立神経に関して、神経には「体性神経(運動神経など意識的なもの)」と「自律神経(無意識に身体が反応するもの)」があり、特にこの無意識の「自律神経」がリカバリーには重要となります。自律神経もさらに「交感神経」と「副交換神経」に分けられます。交換神経は別名「闘争(逃走)」神経と呼ばれ、積極的な身体の活動のために必要な神経です。逆に副交換神経は身体の修復やリラックスにおいて重要な役割を果たす神経です。

温浴によってこの「副交換神経」へ「交感神経」からスイッチし、質の良い睡眠へ繋げることが大切になりますね。

質の高い睡眠のための温浴とは

リカバリー3大要素のひとつ、「睡眠」の質をあげるためにも「温浴」は効果的。温浴によって一度体温を上げ、1〜2時間後に眠ることで丁度体温低下の時期と合わせることによって質の高い睡眠につながります。
また、食事は睡眠の2時間まえに済ませておくと、不要な血液が内臓に行かずに身体がリラックスした状態で高い質の睡眠が実現できます。
まとめると、

1. 食事は睡眠2時間前には済ませ
2. 睡眠1〜2時間前に「入浴」をして身体を適度に温め
3. 睡眠前はスマホ等を見ずに「副交換神経」優位な状態を保つ

ことにより、心身ともにリラックスした状態で、体内の熱をうまく外に逃がし(つまり体温が下がっていく状態)、副交感神経を優位に保ったまま睡眠に入ることが良いということですね。

国も温浴を後押しする「新・湯治」宣言

「新・湯治」宣言

環境省も地方の活性化だけでなく、現代社会のストレス・ワークライフバランスや高齢化社会へのサステイナブルな対策として「湯治」を後押ししています。
新・湯治の推進
「湯治」の概念がユニークなのは、温泉の明示的な効能だけでなく、その温泉街に赴くことでその地域の文化や風土に触れ、日常から離れたリラックス状態を積極的に五感で味わうことによって心身ともにリカバリーしていこうというものです。

例えば日中は地域をランニングしたりウォーキングしたり、山があれば登山やトレイルランニングで全身で自然や風土を楽しみ、良い意味で疲れた身体を温泉によってリカバリーさせます。身体活動を伴うアクティビティは自然と五感をフル活用しますから、全体を通じたリカバリ効果が高いのですね。さらに運動と温泉を楽しんだ後の食事は格別。1日を満喫した後の睡眠は質の高さも疑いの余地がありませんね。科学的には「総合的生体調整作用」と呼ばれるそうです。

日常的にこのような湯治を行うことは難しいですが、心身ともに疲れ切ってしまうまえに、積極的に「Run & Recovery」を実践することこそ今という時代の最も最適な生き方だと思います。

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